【夜勤は身体に悪い?】看護師の寿命が短いのは本当か

看護師の寿命は短いと聞いたことはありませんか?

悩める看護師

看護師の寿命は短いって噂があるけど大丈夫かな?

夜勤で体が疲れると不安になりますよね。私も三交代勤務を数年しているので不安になることがありました

看護師の仕事は、救命の現場から日常のケアまで多岐にわたりますが、その職務はしばしば過酷な条件のもとで行われることが多いです。

特に、夜勤が常態化することによる生活リズムの乱れは、看護師自身の健康にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?

夜間勤務が必須である看護業界の特性上、その身体への負担と寿命との関連性について、専門家の意見や研究結果も交えながら、深く分析してみます。

目次

サーカディアンリズム

看護師の寿命が短いという話がでる一番の理由は看護師に夜勤があるからです。

そして夜勤と寿命に関しては「サーカディアンリズム」が大きく関係しています。

 ※日本看護協会より

サーカディアンリズムとは生物に存在する約24時間周期のことで、概日リズムとも呼ばれます。

これは、睡眠の周期や体温・自律神経・免疫系・ホルモン分泌などの調節を担っているものです。これにより昼間は交感神経が活発に働き労働に適した状態になり、夜は副交感神経が優位に働き睡眠や休息に適した状態になります。血圧や体温、ホルモン分泌もこの周期に同調します。

夜勤はこれと真逆の状態になるため日勤と比べて疲労が溜まりやすくなります。女性の場合月経周期の乱れや母性への影響などさまざまな障害を作り出します。

なお

人の体は夜に寝るようにできているんですね

夜勤交代労働は寿命を縮める

ランス人のヴィスナール教授

夜勤に関して一番出てくるのはフランス人のヴィスナール教授です。

「1976年にフランス政府からの委託業務で、フランス人のヴィスナール教授が、夜勤交代勤務労働者を対象とした健康調査で、夜勤交代労働は寿命を10年以上縮めると発表しました。

中身は検索しても出てこないのでわかりませんが、やはり夜勤は体にストレスがかかるので納得できます。

ストレスは万病の元とも言われています。なので夜勤がというより夜勤によるストレスが原因の病気により寿命が10年短いという結果になったと考えられますね。

頻繁に昼夜のシフトチェンジが起こる生活では死亡率が高くなる

さらに近年の日本の研究で京都府立大のチームが、マウス実験により長期間にわたり、頻繁に昼夜のシフトチェンジが起こる生活では死亡率が高くなることを突き止め、国際科学誌『Sleep and Biological Rhythms』に発表しました。マウスにおける同調不能な明暗環境サイクルへの長期暴露は慢性的炎症を惹起する

本研究成果のポイント
○ 明暗周期の繰り返すシフト(Chronic Jet-lag:慢性時差ぼけ)環境は生体にどのような影響が
あるのかについて、マウスを用いて解析した。
○ 明暗周期を4日ごとに8時間前進させる「Advance 条件」と7日ごとに8時間後退させる「Delay条件」の2種類の明暗シフト条件下で630日間に渡って飼育し、死亡率等を比較検討するマウス・コホート研究を行った。
○ Advance 条件を課したマウスは光環境に同調できず「概日リズム障害」が認められ、個体数が少なく最終的結論にはさらなる解析が必要ではあるが、死亡率は Delay 条件の 4.26 倍であった。
○ Advance 条件の早期死亡個体では、慢性炎症が生じている所見が認められた。

3交代の看護師は日勤、準夜、深夜と勤務の変化が激しいのでこの研究での「Advance 条件」に当てはまりそうですね。

夜勤は乳がんのリスクがあがる?

夜勤と乳がんに関する研究は世界各地でされています。

夜勤を担当したグループは約1.8倍乳がんの発症率が高かった

アメリカのエヴァ・S・シャーンハマーらはアメリカで11万5千人の閉経前の看護師さんを対象に12年間乳がんを発症するかどうか調べると、20年以上夜勤を担当したグループは全く夜勤をしなかったグループに比べて、約1.8倍乳がんの発症率が高かったと報告しています。

Schernhammer ES, Kroenke CH, Laden F, Hankinson SE. Night work and risk of breast cancer. Epidemiology. 2006;17(1):108—11.

夜間勤務は乳癌発症リスクを増加させる可能性がある

日本乳癌学会が発行している乳がん診療ガイドライン2022年版では「夜間勤務は乳癌発症リスクを増加させる可能性がある。」としています。

BQ9 夜間勤務は乳癌発症リスクを増加させるか?

夜勤専従の看護師は「乳がんのリスク」2.9倍

さらにハーバード大学の研究によると、日勤だけの看護師に比べて日勤と夜勤を交代で行なう看護師は「乳がんのリスク」が1.8倍ほど高く、夜勤専従の看護師は2.9倍になることが判明しています。

日勤従事者よりも夜勤従事者の方が、乳がんを発症するリスクが高い

デンマークで行われた女性看護師に対する調査では、日勤従事者よりも夜勤従事者の方が、乳がんを発症するリスクが高いという結果も報告されています。そのリスクは夜勤を長く経験しているほどリスクは高くなります。

Johnni HansenRichard G Stevens. Case-control study of shift-work and breast cancer risk in Danish nurses: impact of shift systems. Eur J Cancer. 2012 Jul;48(11):1722-9.

このような調査結果からデンマークでは、20年以上の夜勤経験者が乳がんになった場合に、その一部を労災補償の対象としています。

その他にもたくさんの発がんに関する研究がありました。

なお

夜勤の乳がんは労災ってすごいですね

発がんにはメラトニンが関係している

発がんの原因の1つに考えられているのが睡眠不足による免疫機能の低下です。

睡眠物質メラトニンには、がん細胞に対抗する作用があり、そのメラトニンは夜に分泌されます。しかし睡眠不足でメラトニンが十分に作られなくなるとガン細胞を退治しきれなくなり、発がんリスクがあがるのではないかという説があります。

夜勤は糖尿病のリスクがあがる?

夜勤と糖尿病に関する研究も多くされていました。

ハーバード公衆衛生大学院の研究

ハーバード公衆衛生大学院が、夜間シフトの多い看護師を対象とした調査しました。

研究チームは、42-67歳の6万9,000人以上を対象とした「NHS(看護師健康調査)I」と、25-42歳の約10万8,000人を対象とした「NHS II」のデータを解析。 その結果、夜間シフトのローテーション勤務が1〜2年間就いた看護師では、日中勤務のみの看護師に比べ、2型糖尿病発症リスクが上昇していることが判明したそうです。

 糖尿病の発症リスクはローテーション勤務期間に比例して上昇し、ローテーション勤務が

  • 3〜9年の女性では20%
  • 10〜19年の女性では40%
  • 20年以上の女性では58%

それぞれリスクが上昇していた。と報告しています。

News
Rotating night shift work linked to increased risk of type 2 diabetes in women For immediate release: December 6, 2011 Boston, MA — Women who work a rotating (irregular) schedule that includes three or more night shifts per month, in addit...

ウィスコンシン大学の研究チームの「ウィスコンシン健康調査」

ウィスコンシン大学の研究チームは、「ウィスコンシン健康調査」に2008〜2012年に参加した1,593人のデータを解析した。生活スタイルと肥満、糖尿病の発症などの関連を調べた。医師の診断を受けたり、HbA1cが6.5%以上であると糖尿病と判定した。

 その結果、過体重と判定された割合は、日中に働いている人が34.7%だったのに対し、夜勤シフトに従事している人は47.9%だった。

 また、睡眠障害に関しても、不眠症(16.3%対23.6%)、不十分な睡眠(42.9%対53.0%)、勤務時間中の眠気(24.4%対31.8%)など、夜勤シフトに従事している人の方が睡眠の問題を抱えやすいことが示された。と報告しています。

夜勤・交代制勤務従事者における糖尿病羅患とコントロールに関する追跡研究

千葉大学の研究チームは2002年~2004年にかけて糖尿病と夜勤・交代勤務との関連について検討した。結果として、pooled logistic regressionによる分析では、交代勤務者の糖尿病に関するオッズ比は生活習慣、健康診断成績とその変動を考慮しても、1.35で有意であった。

さらに交代制勤務従者の糖尿病罹患のハザード比は、生活習慣、健康診断成績を考慮しても、非従事者の1.34倍であることが示され、交代制勤務が糖尿病発症のリスクファクターであることが示唆された。

また、交代勤務から昼勤務に勤務変更された労働者のハザード比の有意な上昇は認められなかった。とあります。夜勤・交代制勤務従事者における糖尿病羅患とコントロールに関する追跡研究

夜勤と糖尿病も関連が強そうですね。

健康のためにできること

夜勤が体に悪そうだということはわかりましたが、健康的に夜勤をするためにできることがあります。重要なのは以下のポイントです。

  • 生活リズムを整える
  • 睡眠の質をあげる
  • 食事に気を付ける
  • 適度な運動を心掛ける

生活リズムを整える

夜勤では生活サイクルが乱れやすくなるので生活リズムが崩れがちです。生活リズムは人によってそれぞれ異なりますがしっかり自分の心地のいい生活リズムを作りましょう。生活リズムを一定に保つことにより睡眠時間も確保でき快適な睡眠につながり疲れがとれます。

睡眠の質をあげる

生活リズムと重なりますが、夜勤の健康管理として大切なことは、十分な睡眠をとることです。日中眠るときは、遮光カーテンを使用したり、静かな環境で睡眠の質を高めるようにしましょう。寝具にこだわるのもありだと思います。

疲労や睡眠不足が続いている場合には、仮眠をとることも有効です。一般的に、日中の睡眠や夜勤前の寝だめなどよりも夜勤中の仮眠のほうが疲労回復効果は高いと言われています。ただし、あくまでも仮眠であり、長時間とるのは睡眠に悪影響を及ぼす可能性もあるのでよくありません。理想の仮眠時間の目安は2時間程度と言われていますが、短時間でも効果が期待できます。休憩時間に仮眠できるような職場であれば、健康管理のためにも積極的に行ってみましょう。

 また、仮眠をとるときのポイントとしては、3時間前から食事をとらないようにすることです。体内で食べ物の消化が続いていると、睡眠の質が下がります。

食事に気を付ける

夜勤をしていると、どうしても食べる時間が変になったり夜中にご飯を食べることがあるので食事には気を付けましょう。夜中や休憩中の間食事に小腹が空いていると、ついついハイカロリーなものを食べがちです。しかし、当然のことながらしっかり夜食を食べてしまうと、太りやすくなってしまいます。夜勤時に間食をするときはサラダやフルーツといった比較的軽い食事にしておくとよいです。

適度な運動を心掛ける

夜勤の健康管理としては、適度な運動をすることも大事です。運動をすることにより体が疲れると快眠につながります。

また健康維持や体調管理にも有効です。そして適度な運動はストレス解消になるという研究結果もあります。夜勤をしているとストレスも溜まるのでストレス解消の1つに運動を取り入れるのもいいですね。

夜勤のメリット

こんな悪いことばかりの夜勤ですがメリットもあります。

夜勤手当が大きい

一番はこのメリットだと思います。夜勤をするかしないかで年収で約150万ぐらい変わってきます。若いうちは経験値を高めると同時に、投資の種銭を貯めることができます。看護師の強みですね。

平日に休みが取れる

休みが不定期になるので、平日に市役所や銀行に行くことができます。その他にも平日のカフェ巡りやお得なランチをいただけます。旅行も平日にいけるため宿が安いです。

人間関係が楽

職場には苦手な人の一人や二人必ずいると思います。しかし三交代をしているとシフト制なので毎日会いません。個人病院などでは毎日同じメンバーになってしまいます。さらに病棟での異動もあるため離れることができます。

まとめ

  • 夜勤をすると寿命を縮めるかもしれない
  • 夜勤をすると乳がんリスクがあがる
  • 夜勤をすると糖尿病のリスクがあがる

感想

看護師の寿命が短いというのは噂です。しかし、今回調べてみて個人的な感想ですが事実だと確信しました。

私も病棟で夜勤を8年しましたが、命を削りながらしている感がすごかったです。今現在は夜勤のないクリニックで働いておりQOLがあがりました。もう二度と夜勤に戻ることはないと思います。

しかし夜勤の看護師のおかげで病院は成り立っているのも事実です。いつもお疲れ様です。自分の健康第一でお願いします。

なお

夜勤看護師の家族の方や、彼氏さん、旦那さんは十分労わってあげてください。

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この記事を書いた人

なおのアバター なお 看護師

1989年生まれ。
フルタイム看護師。
5歳3歳の2児のワーママ。
高配当・株主優待が大好き。

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